認認知症の症状について
認知症の症状
認知症の主な症状は、大きく分けると「中核症状」と「行動・心理症状」の2つに分けることができます。
中核症状
脳の萎縮や血管障害などの原因により、認知機能低下が症状となって現れるものを言います。
記憶障害
- 同じことを繰り返し話す
- 約束したことを忘れる
見当識障害
- 時間、季節、場所等の感覚が分からなくなる
- 道順などが分からなくなる
理解・判断力の障害
- 考えるスピードが遅くなる
- いつもと違うことで混乱しやすくなる
実行機能障害
- 前もって計画を立てることができない
- 家電や自動販売機などが使いこなせない
行動・心理症状
認知機能低下に身体的・精神的な変化が絡み合って起こる症状のことを言い、徘徊や妄想などがこれにあたります。例として
中核症状 | 性格・環境・身体状況(例) | 周辺症状 |
---|---|---|
通帳を自分で片付けてしまい、片付けたこと自体を忘れてしまう。(記憶障害) |
|
「家族が、私の通帳を盗んだ」と言う。(物盗られ妄想) |
大切なことは、認知症の人の気持ちを想像することです。異常と思える行動も本人にとっては理由があるということを理解してください。
一般的な「もの忘れ」との違い
健康な高齢者の方でも「もの忘れ」をすることがあります。健康な高齢者の方の「もの忘れ」と、認知症の「もの忘れ」には、以下のような違いがあるとされます。
一般的なもの忘れ | 認知症のもの忘れ |
---|---|
体験の一部を忘れる | 体験そのものを忘れる |
物の名前は忘れることが多いが、物事自体は忘れない | 物の名前だけでなく、物事自体も忘れる |
もの忘れを自覚している | もの忘れの自覚に乏しい |
人、場所、時間に関して、ほぼ正しく認識できる | 人、場所、時間に関して、ほぼ正しく認識できない |
日常生活に支障はない | 日常生活に支障をきたすことがある |
作り話はみられない | しばしば作り話がみられる |
きわめて徐々にしか進行しない | 進行性である |
認知症をひきおこす病気
認知症は多くの場合、脳の神経細胞が広範囲に、しかも長期間にわたり障害を受けたときに起こります。
認知症の原因となる病気は、よくわからない理由で脳の細胞が壊れるタイプと、別の病気が理由で壊れるタイプに属するものを入れると約70種類あるといわれています。
代表的なものは以下のとおりです。
原因疾患 | 認知症のもの忘れ |
---|---|
脳の変性疾患 | アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症など |
脳血管障害 | 脳出血、脳梗塞、ビンスワンガー病など |
ホルモン異常や肝障害など | 甲状腺機能低下症、ビタミンB2欠乏症、肝性脳症、透析脳症など |
中毒 | アルコール依存症、各種薬物や有機化合物の中毒など |
感染症 | クロイツフェルト=ヤコブ病、各種脳炎や髄膜炎、エイズなど |
がん | 脳腫瘍、転移性脳腫瘍など |
頭部外傷 | 頭部外傷後遺症、慢性硬膜下血腫など |
その他 | 水頭症、多発性硬化症、ベーチェット病など |
認知症の原因となっている病気の割合
早期発見・早期治療の意義
- 治る認知症 (正常圧水頭症など)や一時的な認知機能の低下(せん妄など)に対しては治療により回復が期待できます。
- アルツハイマー型認知症では、おくすりを用いて進行を遅らせることができます。
- ご本人が認知症を理解できる時点で受診することができます。
- 病状への理解と対処法を身につけることで、生活上のトラブルを減らすことができます。
- 症状が軽度のうちに、後見人を決めておくなど、病状が進行したときの対応をあらかじめ提示することができます。
- 医療や介護の専門家に相談することで、認知症やサービスについての正しい知識を得られるため、ご本人だけでなくご家族も余裕を持って対応することができます。
若年性認知症について
- 65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症の方は、全国で37,800人と推計されています。
- 40〜50代の働き盛りで発症するために、本人や家族が被る経済的損失・精神的苦痛は計り知れません。
- 初期症状として、「やる気がない」「眠れない」など、うつ病や更年期症状と類似する点があります。